多古町アートフェスティバル

多古町アートフェスティバル

8月6日晴天の中、千葉県多古町の旧多古第二小学校(今春廃校)で「多古町アートフェスティバル」が開催されました。このフェスのきっかけとなったのが今年3月26日に行われた「ARTment多古町まちづくりシンポジウム」です。ARTmentはビジネスとアート、社会と芸術を繋いでいくことを目指す団体。東京のビジネスマンと大学生、アーティスト約30名がグループを編成し、現地に赴き、その日にプレゼンテーションを行い、まちおこしのアイデアを提案する活動を行っています(第1回は下田市で開催。いいね!JAPAN「いいね!なコト」)。

「ARTment多古町まちづくりシンポジウム」では、東京から選りすぐりのメンバーが集結し、多古町のまちおこしの資産となる場所をいくつか視察しました。

檀林(学校)のある寺として知られ、全国から学僧たちが集まり学んだ日蓮宗の古刹、正東山日本寺。

檀林(学校)のある寺として知られ、全国から学僧たちが集まり学んだ日蓮宗の古刹、正東山日本寺。

町役場前にある廃墟になっている旧林塾跡

町役場前にある廃墟になっている旧林塾跡

由緒ある古民家大谷邸

由緒ある古民家大谷邸

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今春廃校になったばかりの多古第二小学校

今春廃校になったばかりの多古第二小学校

町内視察後4つのグループに分かれ、チームごとにディスカションしプレゼンテーションを行った結果、廃校となった旧多古第二小学校を中心にした周辺地域の資源を活かした案が町長賞を獲得、実行案として多古町に採用されました。

プレゼンテーションするBチーム代表田中さん。

プレゼンテーションするBチーム代表田中さん。

採択されたBグループの企画案の一部抜粋

採択されたBグループの企画案の一部抜粋

採用された案は「多古町アートフェスティバル」として多古町に採択され、今回実施の運びとなり、町民の方々、ARTmentスタッフ、東京藝術大学の学生さんたちが一体となって「観る」「聴く」「作る」「遊ぶ」「食べる」をテーマに多彩な催しが行われました。

開会式が行われた体育館では、ウィーン在住の世界的なピアニストでARTment主宰の一人でもある碓井俊樹さんによるムソルグスキーの『展覧会の絵』とショパンの『革命』が披露されました。午後にはバイオリニストの灘部早紀さんとのデュオでミニコンサートが行われ、大勢の聴衆を魅了しました。

「成田空港に近い立地特性、田園風景など多古町の資産を活用した交流イベントを今後とも行っていきたいですね」(碓井さん)

《聴く》世界的なピアニスト碓井俊樹氏と、バイオリニスト灘部早紀さんによるコンサート

《聴く》世界的なピアニスト碓井俊樹氏と、バイオリニスト灘部早紀さんによるコンサート

《聴く》多くの町民で体育館がいっぱいに

《聴く》多くの町民で体育館がいっぱいに

各教室でも学生や地域住民による様々なイベント、ワークショップ、飲食実演販売などが行われました。教室1で2つのワークショップを行っていた東京藝術大学の山田水香さんはワークショップについて次のように説明してくれました。

「『町なみりったい』は多古町に住む子どもたちが自分の家をそれぞれ作って地図に置いていく、遊んで手を動かしながら多古町を再認識するというワークショップです。私たち藝大三人組で考えました」

《作る》子どもたちは自分たちの手による多古町づくりに夢中!

《作る》子どもたちは自分たちの手による多古町づくりに夢中!

《作る》子どもたちが作った「町なみりったい」の多古町第二小学校

《作る》子どもたちが作った「町なみりったい」の多古町第二小学校

「『ペタペタまどアート』はこの小学校の卒業生でもある金田さんが、廃校なので窓を使って好き勝手やってみたいと思い、カラーフィルムを貼ってステンドグラスみたいに飾りました。さらに、スマートフォンののぞき見防止などに使われる偏光板にセロハンテープを貼ったものを窓に貼り、もう一つ偏光板を合わせて動かしてみると、キラキラしながら変化する不思議な仕掛けも加えました。これを見るとみんなびっくりしますね!」(東京藝術大学山田水香さん)

東京藝術大学の山田水香さん(左)、チョン・ダミさん(中央)、金田郁実さん(右)

東京藝術大学の山田水香さん(左)、チョン・ダミさん(中央)、金田郁実さん(右)

会場には、多古町の生産農家も出店。その中の一つ、家庭科室で多古米を販売していた多古米生産農家の萩原宏紀さんにお話を伺いました。

私はこの多古第二小学校の出身なんです。廃校になってしまって、そのままという小学校もあると思いますが、今日のように有効活用することでまちの交流や発展に貢献できるのはいいですね!これからも参加して協力していきたいです」(萩原さん)

多古米は生産量の少なさから“幻の米”といわれています。江戸時代には将軍献上米として、また平成26年度には皇室献上米に選ばれている多古町の誇りです。26歳の萩原宏紀さんは東京の不動産会社勤務時代に学んだ営業力で多古米を、多古町を盛り上げていくことを力強く宣言してくれました。

《食べる》丹精込めて作った多古米を誇らしげに掲げる「たこまいらいふ萩原農場」萩原宏紀さん。

《食べる》丹精込めて作った多古米を誇らしげに掲げる「たこまいらいふ萩原農場」萩原宏紀さん。

月に1回独居老人に食事サービスを提供したり、「あじさい祭り」「いきいきフェスタTAKO2015」「多古町民マラソン大会」など、多古町のイベント時には必ず協力して、巻き寿司や豚汁などを提供する活動を行っている多古町保健推進委員会会長越川節子さんは、会議室で巻き寿司教室を開催してくれました。

「食はイベントに欠かせない要素。多古町アートフェスティバルでは、多古町周辺に伝わる伝統の“祭り寿司”を初めての人でも作れるように簡単にアレンジして、わかりやすく作り方を教えています」(越川さん)

《作る》巻き寿しの作り方を教わる参加者

《作る》巻き寿しの作り方を教わる参加者

《食べる》「うまくできました!」と喜ぶ参加者の氏家さん

《食べる》「うまくできました!」と喜ぶ参加者の氏家さん

その他、各教室では「手作りおもちゃ」「バルーンアート」「押し花絵画」「藤つる工芸」「木彫り作品展示」「写真展」など様々な催しが行われました。

《作る》ピアノを弾く時のような真剣な眼差しで花を活ける碓井さん

《作る》ピアノを弾く時のような真剣な眼差しで花を活ける碓井さん

《作る》クラフトトンボは子どもたちに大人気

《作る》クラフトトンボは子どもたちに大人気

作る》バルーンアートを通じて、地元の方と東京からの参加者が交流

《作る》バルーンアートを通じて、地元の方と東京からの参加者が交流

《作る》様々な押し花を使ったワークショップ

《作る》様々な押し花を使ったワークショップ

《観る》藤のつるを作った工芸品の展示

《観る》藤のつるを作った工芸品の展示

校庭では、ペットボトルで作ったロケット飛ばしも行われ、大人も子どもも一緒になって大はしゃぎです。最後に校庭に多古町マスコットキャラクター「ふっくらたまこ」を描いて、出展者全員で記念撮影。

《遊ぶ》ロケットが飛ばなくて、自分が飛んでるよ(笑)

《遊ぶ》ロケットが飛ばなくて、自分が飛んでるよ(笑)

《食べる》多古町名物「ふっくらたまこ焼き」

《食べる》多古町名物「ふっくらたまこ焼き」

《遊ぶ》ふっくらたまこを描いて、最後はみんなで多古町いいね!ポーズ

《遊ぶ》ふっくらたまこを描いて、最後はみんなで多古町いいね!ポーズ

無事に「多古町アートフェスティバル」を終えたARTment代表石崎弘典さんは次のように語ってくれました。

時には大声で現場を仕切り、安全な運営を推進する石崎さん

時には大声で現場を仕切り、安全な運営を推進する石崎さん

「3月に実施されたビジネスコンテストで出されたアイデアが、町の皆さまを中心とした運営チーム主導で短い時間の中で準備を重ね、今回見事に実現することになりました。当日は東京など他の地域からも多くの参加者が集ってくださり、まさに日本の夏といった広く高い青空のもとで素晴らしい時間を過ごすことができました」

「多古町には廃校や古民家、日本的な田園風景、多古米を含む各種名産品、成田空港の真横という絶好の立地に加えて豊富な資源があります。それらを生かしながら『日本の中で世界に一番近い町』として様々な試みを行っていけると確信しています。ARTmentは多古町をこれからも積極的に支援していければと思っています。」(石崎さん)

2016年8月6日は、多古第二小学校が廃校から“多古町の文化交流拠点”に生まれ変わった多古町の暑くて、熱い!記念すべき一日となりました。

取材・文/小田実 撮影/河谷俊輔

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