「元気な霧島をつくる!」愛郷の想いで一体感をつくり続けてきた10年
いいね!JAPAN編集長 小田実 × 霧島市長 前田終止

「元気な霧島をつくる!」愛郷の想いで一体感をつくり続けてきた10年 いいね!JAPAN編集長 小田実 × 霧島市長 前田終止

小田 鹿児島県の中で一番大きな合併をして「霧島市」になってから10年経ちますが、いかがでしたか?

前田 この10年、まちをつくるために必要なことは全部やってきました。合併前の新市霧島市の人口推計は、確実に人口減になるという予測でしたが、私が初代市長に選ばれた以上、それを覆してやろうという思いで努力してきました。その結果、微増や減少の増減はあるもののほぼ横ばいを保っています。

今は目指せ13万人!そのために市に定住移住促進の専門窓口を設けています。おいでなさい霧島という意をこめて「おじゃんせ霧島」(この制度でI・J・Uターン者は約千人という成果)。企業誘致等にも力を入れています。現在100社近く。ソニーや京セラ、トヨタ車体、それからアルバック、藤田ワークス……日本だけじゃないアジア、世界に誇れるような企業がいっぱいあります。もちろん今後も増えていく予定です。それに伴ってもちろん新しい雇用も。

小田 すごいですね。まず、どこのまちも地方では少なからず人口減は当たり前になっていますから、その中で微増とはいえ結果を出されている

前田 鹿児島と熊本県南部、宮崎県南部のちょうど真ん中に位置している、それが霧島市です。言わば南九州のど真ん中。空港からは国内線も国際線も出ています。あと高速道路など、交通の要衝になっていて、海外からの誘客も進んでいます。

韓国の首都ソウル、中国最大の経済都市上海、香港、台湾の台北、アジアの主要4都市と定期路線が運行され、最近は韓国の釜山からもチャーター便が就航しています。あらゆる場所の人たちが毎年やってきます。国レベルでも訪日観光客を増やそうと2千万人突破を目指しています。

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小田 まさに順風満帆ですね。他の市が羨ましがるような……。やはりインバウンド施策としては、地元に空港があるのは強みですね。

前田 そうですね。一方で市街地と中山間地域の均衡ある発展というまちづくりの課題もあります。平野部には企業が進出して雇用も人口も増えていますが、山間部、中山間地域の過疎化、高齢化、少子化は本当に厳しいものがあります。それでも「もっと元気な霧島をつくるぞ!」という想いは、愛“郷”無限大!

小田 愛郷!愛嬌の嬌が郷土の郷!いいですね。

前田 これ今から2年前にまとめた資料なんですが、こういうことです。2期8年間の実績。愛郷の想いが伝わると思います。例えばこの8年前の132億円の削減の中には市長の給与8年間20%カットも含みます。

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小田 え、そこまでされているんですか!そんな愛郷の想いの源はどこにあるんでしょう?市長になろうと志したのはいつ頃ですか?

前田 小学校6年生の時にね、児童会長をやっていたんですが、その時に伊勢湾台風が来たんです。普段は台風銀座と言われるくらいに台風常襲地帯な土地柄なんですが、その時は被害を免れました。

そこで私は運動会で募金活動をすることにしたんです。3000人ほど集まるものですから、そこで募金箱を持って何千人という人が死んだらしいと。いつも応援をいただいている鹿児島県から、被害に遭った地域に募金を送ろう、とね。そのことが新聞で取り上げられたんです。その新聞記事を見た近所のおじさんが言われるには「この子は将来大物になるかもしれん」と。えらいほめられるんです。その想いを今までずっと温めてきて50年。その頃ね、書いた書をお見せしますよ。

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小田 「少年の大志」 素晴らしいです!この“少年の大志”を抱き続けた結果、いま霧島市長に……感慨深いですね。そんな前田市長ならではの活動は何かございます?

前田 そうそう。子どものころからの愛郷で言えば、私は龍馬のファンだったので「薩摩龍馬会」というものもつくりました。龍馬ハネムーンウォークというものをやっています。龍馬が歩いた新婚の道を健康づくりのために歩きましょう、と。このイベントもかれこれ20年続いています。このイベントに全国から3千人くらい来るんですよ。

塩浸温泉龍馬公園内にある「坂本龍馬お龍新婚湯治碑」

塩浸温泉龍馬公園内にある「坂本龍馬お龍新婚湯治碑」

あとは「市長とランチで語いもんそ会」。市長と市民、ランチで語りましょうというものなんですけど、これももうすぐ100回目になります。市民の皆さんと同じ目線で話し合い、聴きっぱなしにせず、具体的に施策に生かしていきます。たとえば子育て支援なんかもそうです。放課後児童クラブを充実させて、両親が働きやすい環境を整えたり、医療費の助成にも取り組んでいます。

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あとは広報誌。「広報霧島」は広報誌コンクールで常にベスト5に入るくらい、ユニークで中身の濃いものになっています。広報誌の中にハガキが入っているので、そこに市への意見を書いたり、ちょっとしたPRやお店の情報なんかを送っていただければ、紙面に掲載される仕組みなんですよ。

小田 面白い試みがたくさんですね!市民参加型。市長自ら市民の方との関わりを大切にされているのがよくわかります。

前田 元々が1市6町。バラバラだったわけだからやっぱり一体感を持たないと。そのために交流は大事です。その一体感をどうつくり上げていくかを追い続けたような10年だったかもしれません。みんながひとつになれるように全国規模の参加型スポーツイベントの「チャレンジデー」に霧島市も参加しています。年に1度、自治体ごとに何かラジオ体操でもウォーキングでも、何かやることを決めて、その参加率を競うんです。去年、10万人を超す自治体でチャレンジデーの史上初めてとなる参加率80%を越えました。あとは年齢差を越えた市民ミュージカル。みんな練習しますよ。私もそれに毎年1回出るようにしています。ちょい役ですけどね。

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小田 市長が市民と一体になろうとして様々な試みをなさって、市民もそれを意気に感じて協力を惜しまない、そんな市の気風が感じられます。

前田 そうでしょう。霧島は日本有数の観光地でもありますよ。昭和9年に日本で最初に指定された国立公園の霧島山や、のちに錦江湾も国立公園に追加指定され、霧島市民は山と海の国立公園に囲まれて暮らしています。日本ジオパークに認定されていますが、目指すところは世界ジオパークです。“火山博物館”とも言われ、温泉も豊富です。

小田 霧島の食もバリエーション豊富ですよね。しかも「黒」が多いですね。

前田 そうなんです。黒牛、黒豚、黒さつま鶏、黒ニンニク、黒酢ブリ…と黒尽くめですが。焼酎まで「黒」ですしね。私の好物は黒毛和牛に黒豚。いくらでも食べられますね。今日も朝昼はステーキ! あと黒酢。これ実は江戸時代からの製法を頑なに守って生産は日本1位。血液サラサラに効果てきめんです。

桜島を背景に広がる黒酢の壺「坂元のくろず」

桜島を背景に広がる黒酢の壺「坂元のくろず」

フルーツやお茶も。お茶の生産は鹿児島は全国3位なんですけど、品質は1位。全国お茶まつり大会において、霧島茶は日本一となる産地賞を受賞しています。

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小田 それだけ美味しいものがたくさんあると、元気になれそうですね。

前田 これでも抑えているんですよ。霧島の食は語ろうと思えばいくらでも……

この水、関平鉱泉も。これはわが町の名水です。実はこれ、約3億円売り上げています。40年以上も。他の名だたる名水に負けない歴史を持っているんです。無色透明で美味しいだけでなく傷に効く、ほんと信じられないくらいに。実験の結果、がんになりにくい体質がこの水を飲むことでできるんだそうです。それがテレビで放送されたおかげで、売り上げは倍になりました。今は工場を新たに整備して10億円産業にしようと必死にがんばっているところです。製造元はもちろん「霧島市」。全国どこにでも宅配しますので、ぜひ!

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小田 市が水を販売して財源にあてるという、しかも億単位とは驚きました。ユニークで独創的な前田市長、これからも霧島市から目が離せませんね。本日はありがとうございました。

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maeda

Profile

前田 終止(まえだ しゅうじ)

1947年(昭和22年)7月25日霧島市生まれ 68歳

経歴
昭和45年 亜細亜大学卒業
昭和46年 衆議院議員 中尾宏秘書
昭和52年 衆議院議員 二階堂進秘書
昭和62年 鹿児島県議会議員初当選
(連続4期当選)
平成16年 鹿児島県牧園町長
平成17年 鹿児島県霧島市初代市長
平成21年 同市長二期目当選
平成25年 同市長三期目当選

主な公職
全国国立公園関係都市協議会 副会長
全国温泉所在都市協議会 副会長
鹿児島県市長会 副会長
鹿児島県観光連盟 副会長
環霧島会議 会長
錦江湾奥会議 会長
霧島ジオパーク推進連絡協議会 会長

政治信条
「公平無私」 「是々非々」 「不易流行」 「愛郷無限大」

取材・文/小田実、松田然 撮影/カミオカトモミ

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